時計が止まったような場所。継続は本当に力なのか?

30年以上前、学校を出てから数年間、高崎市内で働いていたことがある。

当時、倍々ゲームで業績を伸ばしていた会社で、当然のことながら新入りの小生は仕事を覚えるため残業、休日出勤をいとわず懸命に仕事をしていた。
実家から通っていたため食費や住居にお金を使うこともなく、毎月稼いだお金のほとんどは飲み代に消えていた。

ウィークディは週三くらいのペースで女性のいる店に通い、休日はそんなお店の女の子を誘い軽井沢へドライブ、などというバカげた毎日を送っていた。
ある日、お店の一人を食事に誘ったら、その子の友達と称する人が10人ほどぞろぞろと一緒にやってきたことがあった。
「まいったな」と思っても見栄もある。しかし、そんな大人数でお高い店に行くこともできず、仕方なくファミレスを占拠して朝まで大騒ぎしたことがある。
もちろん「ギャッツビー」のような豪華で華麗な大騒ぎではなく、注文したハンバーガーをファミレスの中でキャッチボールしラグビーの真似事をやったり、運動会のように店内をバトンリレーで走り回ったり…、迷惑千万な客には違いないが「気分はギャッツビー」なようなところが少しはあったのも事実。

怖いお兄さんでもその場にいれば、死ぬほど折檻されても嫌とは言えないような、トッポイ集団だったこともまた事実。

しかし、毎日バカ騒ぎをしていたわけではなく、たまには一人で飲みたいこともあって、そんな時会社のすぐ裏手にあるJazzバーに何回か行ったことがあった。

その店には、ストレートヘアでどことなく神秘的に見える女性店員さんがいて、さすがにこんなところで騒ぐわけにもいかないので、小生もその人も神妙な表情で静かにJazzを聞いていた。

真面目くさって「このベース誰ですか?」などと聞いてみると、「ロン・カーターですよ」などと、脈絡のない会話を断片的にしたことだけは不思議に記憶の奥底に残っているのだ。

昔「集団即興演奏」が流行っていたころ「道化師」というヒット曲があった。

昔「集団即興演奏」が流行っていたころ「道化師」というヒット曲があった。

巡り巡って今、アラ還にしてあら町(シャレではありません)で会社をやることになり、居酒屋で飲んだ後なにげなくそのJazzバー近辺に足を運んでみると、30年前の当時のままひっそりと営業しているではないか?

店に入ってみると、当時は黒髪ストレートの神秘的な雰囲気だったママさんが、今はベリーショートでどこにでもいるような普通のおばさんになって暗い店内で一人Jazzを聞いていた。
当然小生も普通の初老のオジになっているのだが、黒を基調にした店の基本的な設えも、スピーカーの配置や囲炉裏のある雰囲気も、全く当時と一緒のようで懐かしい。

ママさんとの会話も、「昔、あそこにこんなJazzのお店もあったね」とか、「ここのJazz屋さんのマスターは今どこそこで陶芸をやってる」など、昔を懐かしむ話ばかり。

しばらく飲んでいても誰もやってこないのも、昔と同じだ。
まさに、「時間がここだけ止まっているような」、そんな場所もあるものだな~などと思う。

若い人もたまには、そんな時が止まったような空間に足を運んでみてくださいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です