被災地の人に逆に励まされてしまう。
そのときから半月たち、被害の全貌が少しずつあきらかになる大震災。
命を落とされた方は、最終的には3万人に登ると推測されている。
まさに、未曾有の大災害だが、今なおたくさんの方々が不自由な避難生活を強いられていることに心が痛んで仕方ない。
厳しい状況を知らせる報道の中で、同時にたくさんの「いい話」も報じられている。
命を顧みず最後まで半鐘を鳴らし続けついに波に消えていった消防団員の話、力をあわせて再起を誓う住民と首長の力強いリーダーシップ、不眠不休の医師・看護士・介護士さんたちの献身的な奮闘、再起を支援する自衛隊、ボランティア、全国から寄せられる善意の声…。
こちらまで勇気付けられるような「いい話」がたくさん聞こえてくる。
そんな話に触れると、改めて「日本人はすごい!」と思うのだ。
右翼や「美しい国・日本」などの背後に思惑のある日本賛辞ではなく、この国に土着した善良な日本人の素朴なすばらしさは、なくなっていたわけではなかった。
大げさに言えば、近代合理主義や経済成長優先主義によって世知辛い世の中になってしまった競争(狂騒)社会に、「日本の原点はここにあるよ」と改めて教えてくれるようなエピソードなのだ。
こうした「いい話」は後世や世界に必ず伝えてほしい。
何せ、励まされる震災者の側から逆に力をもらっているのだから。
返す刀で言うわけではないが、政治や電力を供給する一流企業の世界で偉くなった人たちは、こうした素朴な日本人の原点的な美徳から最も遠い感覚で行動している、などとつい思ってもしまうのだ。