ドラマでの「倍返し」は確かに面白い。しかし現実世界で倍返しが連鎖したら。 最後は女性の優しさしか残らない。

 

「この借りは死ぬまで忘れないわよ!」と言って、いったんは退却した黒崎検査官が倍返ししたらどうなる。 あるいは、大和田常務と羽根専務たちも失脚後に新たな倍返しを画策したら。

そんなことを考えていたら、最終回がどんな結末になっても、すっきりしない気持ちになりそうな予感がした。

大型台風が列島を縦断している祭日の月曜日。 こんな天気に出かけるわけにもいかないので、ネット動画で「半沢直樹第九話」をもう一回見てそう思った。

悲劇が憎しみに変わり、憎しみが復讐を呼び、復讐がさらに大きな悲劇を再生産する。 アラブと西欧世界の終わりなき争闘で、一番大きな悲劇を蒙っているのは戦闘行為の第一線とは関係ない女性や子供たちだ。

「やられたらやり返す!倍返しだ!」は、ドラマの主人公のやむにやまれぬ動機としては理解できるし応援もするが、現実世界の中で愚かな人間が際限なく繰り返している悲劇の出発点なのだと思う。
(アラブやアメリカだけを「愚か」と言っているのではない。人間は本質的に愚かな存在だと思っている)

ドラマでは、半沢や近藤の奥さん達がそんな倍返し合戦を、家庭を守る立場から優しく支えている。

最後に残るものは、生き馬の目を抜く世界で戦う男たちを陰で支える、女性の優しさなのかもしれない。
半沢直樹が受けているのは、復讐ドラマのスリリングな展開の中に、復讐という人間本性に根ざす愚かで野蛮な行為と対極の「女性の優しさ」が描かれているからなのかもしれない。

近藤の奥さんが出てくる場面など、不覚にもウルウルしてしまう(笑)。

でも、近藤は本当に大和田側に寝返ったのか?
最終回はいかなる展開になる?

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