成熟産業のブレークスルー、茂蔵豆腐の味やいかに?

世は健康ブームが続いていて、ヘルシーな食品として豆腐や豆乳が受けている。
もともとコンビニで豆乳飲料を買いよく飲んではいるが、いわゆるこれは「調整豆乳」で飲みやすいが豆本来の味わいに欠ける。
豆腐は地元の手作りかスーパーで買う安売り物と決まっていた。
昨日会計事務所での雑談の中で、1年ほど前に東証マザーズに上場した「篠崎屋」のことが話題になり、遅ればせながら食べてみようと思った。
群馬県に何箇所か工場直売所があり、高崎にも一つあるので、少し遠いが昼飯時に足を伸ばしてみた。
「茂蔵」というブランド名で、絹ごし、木綿、豆乳のほかに納豆も扱っている。
店の周りに派手なのぼりが立ち、もともとは酒屋なのだがいまでは茂蔵豆腐を扱っている店を強調しているらしい。
親切な店主が絹ごしと豆乳を試食させてくれた。
豆の香りがなかなかいい。
豆乳とにがりを買って、自分で豆腐を作る人も多いそうだ。
木綿が1個263円と表記されているが、工場直営なので2個で210円、豆乳もしめて420円は高くない。
季節外れだが、うまい豆腐なら冷奴で塩が一番なので、早速今晩試してみよう。
おそらく豆腐産業は成熟斜陽産業の一つなのだろう。
自転車の荷台に箱を乗せ、ラッパを吹いて売りにくる豆腐売りの姿が懐かしい。
そういえば大学時代の知り合いに、原子核工学科のマスターを出てからラッパの豆腐売りになったやつがいた。
別に彼は斜陽産業を再興しようと思っていたわけではなく、原発にかかわるのがいやだったのだ。
ともかく、父の代からの豆腐屋を継ぎ見事ビジネスとしての成功を勝ち取った篠崎屋さんには拍手喝さいである。
スーパーに下ろしていたのでは値をたたかれて絶対に儲からない、苦しくても直営・自販でいくことを英断した社長の思いには、デパートとの大口取引をやめ小口宅急便に活路を見出したヤマト運輸の影がダブル。
「人の行く 裏に道あり 花の山?」がうまくいった事例なのだろう。
苦しくても信じた道を一筋に、といった姿勢には頭が下がるばかり。
かといって裏に必ず花があるわけではないことが、商売の常であることは言うまでもない。